『神託の聖剣 〜神話を夢見し青年〜』

身体が焼ける様に痛む夜
彼は語り継がれし神話を夢見た

『御主の誓いに違(たが)いは無い様じゃな』 ある王に仕えし黒の魔女が言った
『汝に授けしは我が神託の聖剣なり』 黒の魔女を仕えし王が言った
『主(あるじ)の正義に応え貫くと我は誓い申す』 白の剣士は雄々しく放った

遠い昔 邪悪の存在を砕く為 白の剣国と黒の魔国が力を交わした

水の賢者は歌い紡ぎ 蒼の雷陣を虚空(そら)に描く
炎の詩人は謳い綴り 紅(あか)の緋文を預言書に読む

絶対的な闇を従えて 邪悪と呼ばれた者は嘆いた
正義と悪は表裏一体であり 光と闇もまた然りなり

その時 正義と讃えられた二国 その時 邪悪と蔑まされた哀しき男達

二つの強大な力はぶつかり合い
それは 神々の怒りに触れてしまった

嘆きの涙と怒りの業火により 大地は燃え尽き流れ去った
荒れ果てた世界に神々達は 新たな希望の種を蒔き放った

『彼(か)の聖剣は、今この時、深き封印の果てに』 一人の神が呟く
『目覚め解き放たれし時は、再び歴史を裁く為に』 一人の神が呟く
『そして、聖剣を振り翳し青年は、世界を救う為に』 一人の神が呟く

語り継がれし神話の夢は そこで終わり 彼は目覚めた

その左腕に 聖剣の証を 受け継いで…



☆コメント☆
制作日2006年10月31日
制作時間約2時間
Sound Horizonの『終端の王と異世界の騎士』等に触発され
全3部作を目標とした作品の製作に取り掛かった第1作。
1.神話。 2.現世。 3.そして来世へ。
簡単に示すとこの様な流れを3作に分けて書き上げたい。

※上記コメントは、制作当時のものを原文のまま掲載しています。