『キミカラノ愛情』

真っ赤に染まった部屋の中で
私は大事な大事なお人形を抱き締める
柔らかいお人形は虚ろな目で私を見つめる

私の恋が叶った瞬間も
世界は変わらず回っている
気が付けば涙が零れていた

この結末に誰が微笑んでくれるだろうか
神様の悪戯か悪魔の好意か
私の本当の想いが蘇り始めた
彼は居るのに彼は居ないから
夕方を過ぎた頃私は走り出した

真っ赤に染まった服を身に纏い
私は大事な大事なお人形を握り締め
柔らかいお人形は哀の目で私を見つめる

私の故意が叶った瞬間に
世界は真実を突き付けてきた
気が付けば彼の育てた場所へ

深々とお辞儀花が私へ挨拶を交わしてる
進めば進むほどに花達は枯れて
私の本当の想いが腐り始めた
彼の育てた場所に彼は居ない
夜闇に包まれ私はまだ走り続ける

辿り着いた先には大きなお辞儀花と石碑
近付くとそこには短い手紙があった
彼の本当の想いを知ってしまった
私の育てた愛は間違っていた
コレナラモットハヤクフツウニシテレバ

真ッ黒ニ染マッタ空ヲ目掛ケテ
私ハ大事ナ大事ナオ人形ヲ抱キ締メテ
居ナクナッタオ人形ヲ探シニ逝クノ



☆コメント☆
制作日2008年5月17日
制作時間約255分
ぬこからのお題「向日葵畑」。
二つ前の作品「キミヘノ哀情」の続編的な作品。

目が覚めた彼女がとった行動は
悲しい結末しか呼べなかった。
彼の真意は…実は…という展開。
それに気付いてさえ居れば、もっと早く普通にしてれば。
こんな悲しい終わりにはならなかった…という感じ。

※上記コメントは、制作当時のものを原文のまま掲載しています。