『オレンジ』

それはまだ種のまま 芽を出せず怯えていた
冷たい土の中で 太陽を知らずにいた

ある日種は水を撒いてくれる彼と出会った
諦めかけていた陽の光が近くなった

オレンジ色の光が迎えてくれた
それはとても優しくて暖かくて
その影に隠れた彼が微笑んだ
とても暗いはずなのに眩しかった

やっと芽を出した種は 少しずつ背を伸ばした
冷たい雨風にも 負けないようにしっかりと

ある日芽は彼の為に綺麗な花を咲かせた
諦めていた実りの日はすぐそこまで

オレンジ色の海を泳ぎながら
彼は真っ直ぐそこへ向かう
少しゴツゴツした彼の手のひらに
私は揺り籠の安らぎを感じた

何度目かの甘酸っぱい想い
何度目かの実りの日
いつもこれが最後になると信じてた
その度に摘まれた私は種に戻る
また訪れた実りの日
これが本当の最後になると信じて

オレンジ色の光は絶えなかった
それはとても優しくて柔らかくて
その影からでも判る彼の素顔は
とても明るくて私まで照らしてくれた

オレンジ色の光は絶えなかった
彼がいなくなってからも輝いて
私はとても幸せだったと感じる
それが3つ目の私の光だと知った


☆コメント☆
制作日:2010年2月21日〜23日
制作時間:約1時間

あみのしゃんからのお題、「3つのオレンジの恋」から
ある人の、彼への3度の恋をイメージした作品。
3度の恋というのは全部彼への恋。
1度目の恋は出会い、2度目は一緒になる時(結婚?)
3度目は彼が死に逝く時。
それぞれに恋(光)を感じた彼女のお話。
3度目の時になぜ感じるのか、それは改めて
彼を愛していた、彼に恋していたと分かるから。

※上記コメントは、制作当時のものを原文のまま掲載しています。